安産祈願と、戌の日の帯祝いの話
ずいぶん暖かくなってきて、ついにもう春かと思えば、夜中の雨で気温が下がって今日は冬に逆戻り。
現在、妊娠21週目。立ち上がろうとする時に、お腹の小さなふくらみがついつい気になって撫でる癖がついてきた時分なのですが、動くのが億劫だとも言っていられないので、家でゲームをしていたいという欲求を振り切りつつ、つわりで落ちた体力を回復するために歩くことを日課にしています。
とはいえ今日はさむい……。冬用のコートを着込んで縮こまりながら歩いていたのですが、昨日までの連日の暖かさで、桜をはじめとした春の花がすっかり咲いてしまっていました。
散歩道で咲いていた鮮やかな花。
紫モクレン、といって、その昔中国からやってきた種類のようですが、これはまだ咲始めでつぼみに近い状態のもよう。葉がなく、背の低い木の枝に大ぶりの花だけが立ち上がるように咲いている姿が、凄く綺麗でした。
さて、今日は少し前の冬盛りに、安産祈願に行ってきた話になります。
安産祈願とは、妊娠5ヶ月目の最初の戌の日に、社寺にお参りして安産を祈願する風習。社寺で腹帯を頂くか、持参した帯をお祓いしてもらい、それを戌の日にお腹に巻くことで帯祝いをする行事です。
――が、実は厳密には『安産祈願』と『戌の日の帯祝い』は別物だそうです。
『安産祈願』は社寺にお参りをし、『帯祝い』では戌の日に腹帯を巻いてお祝いをするので、本来は5ヶ月目の最初の戌の日に安産祈願をする必要はありません。
私も戌の日の1週間ほど前にお参りをし、あらかじめ帯を貰っておいて、戌の日当日には帯祝いだけしました。
もちろん同じ日に行ってもいいんですが、有名なお寺や神社だと、戌の日は混むんですよね。場所によっては駐車場もぱんぱんになってしまうので、安産祈願は繁忙期を避けていくのも一つの手です。
ちなみに、なんで5ヶ月目なの? というと。
つわりもおさまって安定期に入り、同時にお腹が出始めて腹帯が必要になってくる時期だから。
私は絶賛つわり中(しかも一番ひどい時期)でしたが……。
私のようにつわりが収まっていない妊婦さんもいるでしょうし、決して5ヶ月目に合わせないといけない、ということではないらしいのですが、私の場合は義両親に同行を頼んで、予定を開けておいてもらっていたこともあったので、「まぁ、なんとかなるかな!」と思って強行してしまいました。ただ、家に戻ってから吐いてしまったので、ホントに、あまり無理をするものではないです……。
ちなみのちなみに、戌の日とはなんぞや? というと。
十二で一周する干支ってありますよね。子(ね)、丑(うし)、寅(とら)、卯(う)から始まるアレです。
それが年に割り振られていて、今年はねずみ年だとか、誰それが丑年生まれだとか言われているのは皆が知っている話ですが、実はその干支、年だけではなく、日にも割り当てられているらしいんです。妊娠するまで全然知りませんでした。汗
その十二で回るサイクルのうち、戌にあたる日が、戌の日になります。
犬は昔から多産・安産の象徴だったので、それにあやかり、妊娠5ヶ月目の戌の日に「岩のように丈夫になる子どもが生まれてくるように」という願いを込めて岩田帯(腹帯のこと)を巻き、『帯祝い』をする風習が定着したのだとか。
安産祈願は大体の神社やお寺で受け付けてくれているようなので、ご近所の社寺にお願いしている人も多いかと思いますが、大阪北部に在住の私は、義母の勧めで、安産祈願で有名な大きなお寺に行ってきました。
中山寺という、なんと聖徳太子建立したと言われる、日本最初の観音霊場。千年は優に超える歴史を持つ、ものすごく由緒あるお寺です。
しかも、世継ぎのできない豊臣秀吉がここに祈願したら秀頼を授かったというエピソードまであるそうな。
――というは、お参りから帰ってきて、腹帯に同封されていたリーフレットを開いて初めて知ったのですが。汗
そんなエピソードもりもりのお寺ですが、戌の日を避け、なおかつ受付スタートギリギリの朝9時を狙って行ったので、他に参拝者のいないゆったりしたタイミングで祈願することができました。
まず御本堂にお参り。それから脇にある受付所で申込用紙を提出。
祈祷料の8,000円をそこで収めて、お参り自体は思っていたよりも簡単に終わりました。
お札と腹帯はその場でもらえて、お札は1週間後ぐらいに郵送。
私は受けませんでしたが、祈祷殿での特別祈祷も行っているようです。
腹帯(使用済み)と、お守りと護符と、腹帯の扱い方や洗濯の方法を書いてくれている用紙やリーフレットと、次回のお宮参りの申込書。
撮影のために少し降ろしましたが、護符は受付所の巫女さんの言葉に従って、普段は高い場所に立てています。お守りはお財布の中に入れて携帯。
腹帯は、巻き方が少しややこしいんですが、夫に悪戦苦闘しながら巻いてもらいました。
これでお腹の子も、安泰かな。
この一連の行事、これで終わりではないんですよね。
無事に出産できれば、新しい帯を用意してお礼参りにいくことになります。
私はあまり信心深い方でもなく、こういった行事も、本や義両親の話で初めて知ったくらいなんですが、妊娠すると、やっぱり心境の変化が起こるんですよね。
自分の厄払いにはいかないのに、子供のこととなると、神頼みをしたくなる人の気持ちがよく分かる。
刀剣乱舞のおかげで、こういった伝統や風習の大切さを意識するようになったこともありますが……、お礼参りと同時に母子健康を祈るお宮参りをする人も多いようなので、私も子供に晴れ着を着せて、その日に臨めたらいいな。